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●藤田コーディネーター

 

今のお話の延長線になるかと思いますが、山出市長、金沢市では高齢者・障害者等のためのモデル交通計画を既に策定済だとか、今後どのように発展させるか等を含めてご披露いただけますか。

 

●山出先生

 

ノーマライゼーションとかバリアフリーとかという視点なり理念なり、そのための施策というのは始まったばかりだと思います。交通面での具体化というものが、これからまじめに取り組んでいかなければならないというように思っています。運輸省もご協力・ご支援くださって高齢者・障害者のためのモデル交通計画というものを前年度策定させていただきました。ドアトゥドアのスペシャルトランスポートの事業化を検討中で、日本では横浜市と金沢市が指定され、ノンステップバスを走らす実験を行うことになっています。横浜市は既に実験を行っていますが、金沢市はまだ行っていません。
その理由は、金沢市は雪が降るので降雪時に走らせた場合、どのような問題点があるのか、停留所の状況、停留所環境のバリヤフリーの視点に立った調査等を行おうということからです。是非この試みにより問題点を摘出し、実用化に向け整理していきたいと思います。いずれにしても、採算のとれないシステムを導入しようということであり、これについては国や地方の役割をはじめ事業者や関係機関との連携した総合的な取り組み方が必要になってくると思います。

 

●藤田コーディネーター

 

人・まち・環境にやさしいバスということで随分身のあるご発言を頂いたかと思います。まとめの意味で論者の皆さんにこれからの日本のバスおよび都市交通像ということについて必要なのはこういうことだというメッセージを一言ずつ残して頂きたいと思います。それぞれ1分くらいでまとめていただけないでしょうか。

 

●國友先生

 

都市部における限られた道路空間で健全な都市交通をつくり出すためには、通勤用としてマイカーを使わないというような意識がマイカーの合理的利用になるのではないでしょうか。
そうすると道路面積当たりの効率性の高い公共交通が優先されやすくなるので、まず国民に意識をもっていただくこと。次に、学園前の例の様に、既にある道路では規制しかないが、川西市のように新しい道路ができた場合、とくに駅へのバイパス道路ができた等は当然バスが通るということで事前に行政とバス事業者が話し合っていくシステムづくりが必要ではないか。
さらに、機動性のあるリアルモードバスとして、大規模団地から通勤駅までの輸送等が期待され、既に関西文化学術研究都市では交通輸送体系整備の方針の中で鉄道駅と各クラスター間の移動にガイドウェイバスが良いであろうという方向で検討が行われています。奈良市でも労働博を昭和63年に実施しましたが、そこでパーク&バスライドを実施し、682万人の入場者を輸送したという成功例がありますので、今後も行っていきたいと思います。

 

 

 

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